重症花粉症治療の新しい治療薬 2020年...

2026/03/07

重症花粉症の治療(ゾレア®皮下注射)について

重症花粉症治療の新しい治療薬

2020年より、重症・最重症のスギ花粉症に対して抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する治療(保険適応)を行うことができるようになりました。
スギ花粉症によるくしゃみ・鼻みずがとまらない・鼻がつまるといった鼻炎症状が飲み薬、点鼻薬などでもおさまらず、1日中花粉症で悩んでいる方、また、内服薬の眠気が強く、より強力な効果が期待できる薬剤に変更・増量できないために花粉症症状がおさまらない重症花粉症の方にとっては、検討する価値の高い治療です。

概要は以下です。

①対象は12歳以上で、4週間ごと(IgE値と体重によっては2週間ごと)に注射します(2-5月に行います)。

②今シーズン、従来の治療法(抗ヒスタミン薬など)で1週間以上治療し、コントロール不良な方が対象となります。

③治療の前に、総IgE値とスギ特異的IgE値を採血して測定する必要があります。(直近の総IgE値と体重で投与量が決まります。総IgE値が異常高値の場合や、スギ特異的IgE値がClass 2以下の場合は適応となりません)

④費用はゾレア®︎の薬剤費のみで1か月あたり、3割負担の方で約4500円から、最大で48000円もかかります(IgE値と体重によって金額が決まりますので、指定はできません)。その他、受診、検査にかかる費用、同時に服用し続ける必要のある抗ヒスタミン薬の処方費がかかります。
小児は12歳以上が適応ですが自治体によってはこども医療費などの医療費助成が受けられます。

⑤効果はIgE値が低ければ注射後4週間程度(高ければ2週間程度)であり、そのシーズン限りとなります。そのため、ゾレア®の適応となった重症花粉症患者さんは、6月以降になればスギ舌下免疫療法を考えてみましょう。舌下免疫療法はスギ花粉症に対する唯一の根本治療です。

ゾレア®皮下注のメリット 

副作用について

きわめて稀ではありますが、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、初回注射後は1時間は注意が必要なので、クリニックの近くに待機していただきます。他に、同じく発生頻度は低いですが、めまい、疲労、失神、傾眠といった副作用も報告されています。

治療の流れ

1回目の受診

問診をして、重症または最重症のスギ花粉症であるかどうか診断します。
1週間以上、 既存の治療(抗アレルギー剤、鼻噴霧用ステロイド剤など)を行います。

2回目の受診

1回目の受診時に行った既存の治療の効果を確認します。効果が悪ければ、ゾレア治療の適応となりますので、投与量決定のための血液検査(総IgE測定、スギ特異的IgE測定)を行います。採血結果が出るのに約1週間かかります。

3回目の受診(ゾレアの投与日)
約1週間後に採血結果を確認して、IgE値とスギ特異的IgE値によって、投与可能かどうか、投与量と投与間隔が自動的に決まります。患者さんが指定することはできない決まりになっています。受診していただきゾレア治療の最終確認とゾレアの投与を行います。
投与数日後に効果が出始め、効果の持続期間はIgE値によって、2-4週間と言われています。このため、比較的IgEが少なめな方は4週間ごと、IgE値が高めな方は2週間ごとの反復投与が必要です。

効果のはっきりしている新しい治療です。高価な治療であり、かつ、適応が厳しく制限されているため使える方は限られますが、必要性を感じる方は外来でご相談ください。